技術情報(「信号機なんでも読本」等から抜粋)
点、線、面の交通整理
信号機が導入された初期の頃は、交差点ごとにそれぞれ単独で制御していました。(点の交通整理)
設置される信号機の数が増えてくると、となりあった信号機の動きに関連を持たせる必要が生じてきました。(線の交通整理)
さらに信号機が増えると、線のつながりも縦方向ばかりでなく、横方向も考慮されるようになりました。(面の交通整理)
これら点・線・面の交通整理は、信号制御の基本となります。
1 点の交通整理
初期の頃は、1通りの決められた時間で[青][黄][赤]を表示していました。
その後、よりスムーズな走行のために1日の車の流れに応じた[青]の時間が調整されるようになりました。たとえば朝・夕のラッシュ時の交通、昼間の平常交通、夜間などのまばらな交通の3通りの変化にあわせて[青]の時間も3通りに変化させようというもので、これを多段制御といいます。
さらに交通量の変化が激しく、多段制御では対応できないような交差点では、交通量に合わせてそのつど[青]の時間が調整されるようになりました。これが感応制御です。
また、歩行者が押しボタンを押したときだけ歩行者用信号を[青]に変えるという、押しボタン制御もできました。
このように、交通量あるいは歩行者の要求に応じて制御される信号機が次々と生まれてきました。
2 線の交通整理
道路を進むに従って、目の前の信号が次々と青に変わり、止まらずに走れないか……ということで考え出されたのが、系統制御つまり線の交通整理です。これは、各信号機の連携をとり、はじめの信号機が[青]になってから一定時間の後、次の信号機を[青]に変えるというもので、これにより車はスムーズに走ることができます。
しかし、これは同じサイクルの信号機どうしでないと実現しません。そこで、コンピュータの登場です。考えられるサイクル、スプリット、オフセットをそれぞれ数パターン作ってコンピュータに覚えさせておき、交通状況をもとにその時点でのサイクル、スプリット、オフセットをあらかじめ覚えておいたパターンのなかから選択し、最適な[青]の時間を信号機に命令する、という方式です。
3 面の交通整理
道路が網目のようにはりめぐらされた都市部では、点や線だけの交通整理では追いつきません。縦の道路、横の道路…を含めた広範囲にわたる面の交通整理が必要になりました。車の流れをキャッチする[車両感知器]が要所要所に取りつけられ、時々刻々の交通状況をコンピュータに報告します。この報告にもとづきコンピュータは、
・停止回数を減少させる
・待ち時間を減少させる
・待ち行列を減少させる
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さまざまな計算を実施し、的確な[青]の時間を信号機へ指令します。
このように信号制御はより高度なものへと移り変わってきたのです。現在では、これら点・線・面の制御を、地域の交通状況に合わせて使い分けています。
いつ、[青]にするか。
どのくらい、[青]をつけるか。
どこまで進歩しようと、どんなに高度になろうと、これが信号機の持つすべての課題なのです。この2つの項目がこれまでの、そしてこれからの事故防止、渋滞抑止につながっているのです。